発行:2023年3月22日
※本資料は、千葉県DX推進協議会 DXリテラシ向上対策部会の活動状況と参考情報を発信するものです。
目次
1.R4年度活動報告
2.DX化事例紹介
3.セキュリティ事故解説
4.R5年度活動方針
R4年度は「行政手続きのオンライン化」をテーマに3回の共同研究会を実施しました。
第1回(9/27)は、研究会事前アンケートとデジタル庁アンケートからオンライン化進捗状況と課題の共有を行い、今後取り組むべき検討課題を整理しました。第2回(11/21)では、外部講師を招き、手続きオンライン化の進め方や検討ポイントを説明頂き、皆さんで課題検討しました。第3回(2/21)は、県内3自治体(市原市、柏市、千葉市)の取組み状況についてお話し頂き、意見交換しました。
3回の共同研究会には、延べ38自治体・188名の方に参加頂き、“参考になった”と事後アンケート評価を頂き、関心の高さ、取組みの重要さを改めて実感しました。
この1年の行政手続きのオンライン化の進捗状況をデジタル庁アンケートから整理してみると、総務省が2022年度末を目指して“国民の利便性向上に資する31手続きをマイナポータルからオンライン手続き可能にする”という目標は、子育て関係は進んだものの介護・被災者支援は“まだ道半ば”という状況です。
<千葉県54市町村の状況>
手続き数 |
2022年6月末に 実施済み |
2023年3月末までに 実施予定 |
2023年2月末の 達成状況(*) |
|
子育て | 15 | 49% | 88% | 69% |
介護 | 11 | 7% | 79% | 15% |
被災者支援 | 10 | 1% | 28% | 2% |
(*)注:達成状況は、デジタル庁より受領したデータの“電子申請可能”と“様式の印刷可能”を含めて、カウントしております。
ひとまずマイナポータル(ぴったりサービス)に手続きの窓口を設けたものの、受付データを手作業で処理したり、紙にして従来の事務処理を行ったりしているのが実状のようです。
引き続き、データ受付後のオンライン化課題に取り組んでいきましょう。今後、オンライン化課題の具体的な対応方法や対応事例をテーマに共同研究し、行政手続き業務の効率化、そして真に住民サービスの向上に繋げていきたいと思います。
今回はDX化取組みの発信事例について見てみたいと思います。
全国の自治体DXのホームページを閲覧すると、動画を使って説明したり、ユニバーサルデザインを取り入れて文字の大きさが選べたり、外国語に対応したりと、とてもクオリティが高くなっています。参考になるホームページBEST10を独断と偏見ですが選んでみました。
1. 香川県高松市
「スマートシティたかまつ」:動画の印象がとても良い
2. 岡山県備前市
「備前市スマート自治体戦略」:動画とユニバーサルデザインが良い(動画は外部リンク)
3. 長野県松本市
「デジタルシティ・松本のシンカ」:動画とネーミングが印象的
4. 大分県中津市
「中津流DXについて」:写真と個性的なホームページが印象的
5. 佐賀県佐賀市
「スマート・ローカル! SAGACITY」:さりげなくユニバーサルデザイン(画面右上)
6. 大阪府茨木市
「次なる茨木DX」:閲覧支援ツールで音声読み上げ機能がすごい
7. 長野県伊那市
「伊那市DXしあわせのまち宣言」:写真と文字のバランスがよい
8. 広島県福山市
「まるごと実験都市ふくやま」:キャッチコピーがインパクト抜群
9. 宮城県都城市
「本気で挑戦!日本一の市役所!」:思わず応援したくなるキャッチコピー
10. 島根県出雲市
「出雲市デジタルファースト推進計画」:ピクトグラムで情報をナビゲート
(ダウンロード資料の「出雲市デジタルファースト推進計画(概要版)」参照)
*ピクトグラムとは、絵文字や絵単語などと呼ばれることもあり、見た目でわかる案内用図・
記号です。公共の施設等で広く使用されています。
自治体DXは取り組みも大事ですが、情報発信の仕方にも工夫が必要ですので、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
シリーズの2回目でランサムウェアの事故事例を紹介しましたが、今回は攻撃型ランサムウェアの新たな手口と対策法についてお話します。
1.人手によるランサムウェア攻撃(human-operated ransomware attacks)
従来のウイルスを添付したメールを機械的にばらまくような手口と異なり、攻撃者自身が様々な攻撃手法を駆使して、企業・組織のネットワークへひそかに侵入し、侵入後の侵害範囲拡大等を行います。特に、インターネットからアクセス可能な状態としているサーバへの不正アクセスや、ネットワーク機器の脆弱性の悪用などが報告されています。リモートデスクトップサービス(RDP)の認証を突破されたり、VPN装置のアップデートが行われておらず侵入されたという事例が多くあります。
2.二重の脅迫 (double extortion)
ランサムウェアにより暗号化したデータを復旧するための身代金の要求に加え、暗号化する前にデータを窃取しておき、支払わなければデータを公開する等と脅迫する攻撃方法です。
3.多要素認証による対策
具体的な不正ログイン対策として、まずはパスワードを長く複雑にするなど推測されにくいものにして、さらに複数サービス間で使い回しをしないことが重要です。また、一歩進んだ対策として、IPAでは「多要素認証」の設定を推奨しています。
「多要素認証」を利用している場合、仮にIDおよび1つ目のパスワードを不正利用されてもログインはできないことから、不正ログイン防止に効果があります。
参考資料
・IPA 不正ログイン対策 https://www.ipa.go.jp/security/anshin/account_security.html
第3回(2/21)共同研究会後のアンケートでお聞きした「次回以降の共同研究会テーマ」は、下記結果でした。(複数回答)
①次年度も行政手続きのオンライン化(ぴったりサービス等)に関した共同研究を続けたい |
56.0% (14/25) |
他自治体の動向 8、ベンダーソリューション 2、利用度を高める方策 9、業務の効率化 12 | |
②次年度は行政手続きのオンライン化以外の住民接点業務のデジタル化を主体に研究したい |
20.0% (5/25) |
子育てや福祉 3、健康管理 2、公共施設の予約管理 1、住民への周知 3 | |
③次年度は自治体業務のデジタル化を主体に研究したい |
44.0% (11/25) |
ワークフロー 8、金銭出納 4、情報伝達 5、RPA 7、AI 7、テレワーク 2 | |
④次年度は『デジタル田園都市国家構想』など、自治体DX全般に範囲を広げて研究したい |
20.0% (5/25) |
過疎地域交通DX 3、住民向け情報発信 2、商工・観光振興DX 2、教育分野DX 2、 エネルギーや医療等 3 |
R4年度活動総括でも記載したように、「行政手続きのオンライン化」はまだ始まったばかりで、“業務の効率化”や“住民サービスの向上”に向けて、解決すべき課題は多々あります。研究会事後アンケートでも継続検討の要望が強いことを踏まえ、来年度も下記を研究テーマと考えています。
『 ぴったりサービスを含む行政手続きのオンライン化を、業務の効率化観点で、
課題検討および事例研究を行うこと 』
オンライン申請から自治体の皆さんの一連の業務が完結するまで、ITをどう活用して課題解決し効率化していくか、先進的な事例を持つ民間企業の力を借りながら深掘りが出来ればと思います。
R5年度も「行政手続きのオンライン化」共同研究会を継続し、皆さんにとって有益な情報提供と意見交換の場にしていきます。
引き続きよろしくお願い致します。
下記はR3年度までの千葉県地域IT化推進協議会 ITレテラシ向上対策部会の活動として発行したメルマガをまとめたものです。参考にして下さい。なお、現在メルマガ発行は終了しています。
※本資料は共同研究会参加メンバーおよび協議会メンバーを対象に、千葉県が配信しております。
発行:千葉県DX推進協議会 DXリテラシ向上対策部会
部会長:特定非営利活動法人 ITCちば経営応援隊 浅井 鉄夫
事務局:特定非営利活動法人 ITCちば経営応援隊 加野 隆司
電話 080-3425-8779 電子メール t.kano2005@gmail.com
監事 :千葉県DX推進協議会 事務局 千葉県総務部 デジタル戦略課 島田 悟
次回発行予定 2023年6月