クラウド

クラウドという用語には2種類あります。「cloud(雲)」と「crowd(群衆)」の違いです。

 

そもそもは、Googleの元CEOエリック・シュミットが、2006年に自社のサービス群を「クラウドコンピューティング(cloud computing)」と呼んだのが、「cloud」の普及のきっかけでした。

 

一方、「crowd」は「クラウドソーシング(Crowdsourcing)」(不特定多数の人がインターネットを介して労力等を提供)、「クラウドファンディング(Crowdfunding)」(不特定多数の人がインターネットを介して資金調達を支援)という形で使われており、日本では2012年頃から急速に広まりました。

 

ここでは、「cloud」の意味での「クラウド」を解説します。

 

クラウドとは、一言でいうと「ユーザーが自前でコンピューターなどのハードウェアやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、ITサービスを必要な時に必要な分だけ利用する考え方」のことです。クラウドは、クラウドコンピューティングと呼ばれることもあります。また、クラウドで提供されるITサービスをクラウドサービスと呼びます。

クラウドはインターネットを雲(Cloud)に見立てて、名づけられたと言われています。

 

かつて、全ての情報システムは自社内もしくはデータセンター内にハードウェアとソフトウェアを保有して、専用のネットワークで端末群と結び利用する自社運用型(オンプレミスと呼ばれます)でした。

インターネットが発展し、インターネット経由でデータベースなどのコンピューター資源や、各種のアプリケーションサービスを提供する企業が生まれ、そのサービス品質やセキュリティ確保技術の向上などによって、コスト面や情報システムを開発・維持するための技術者不足に悩まなくて済むなどの理由から、企業等の基幹システムについてもクラウドサービスの利用がかなり一般的になっています。

 

クラウドサービスはその形態から以下の3つに分類されます。 

SaaS

Software

 as a Service

ソフトウェアパッケージを提供するクラウドサービス

主な例としては、電子メール、グループウェア、eラーニング、音楽や写真・動画のサイトサービスなどがある

PaaS 

Platform

 as a Service

業務システム(アプリケーション)の実行環境を提供するクラウドサービス

ユーザーが自分のアプリケーションを配置して運用できる

IaaS

または

HaaS

Infrastracture

 as a Service

 または

Hardware

 as a Service

サーバやディスクなどのインフラを提供するクラウドサービス

ユーザーが自分でOSなどを含めてシステムを構築・運用できる

クラウドサービスはネットワークの通信速度が速くなったことと、スマートフォンの普及などを背景に急速に広まりました。特にスマートフォンなどのモバイル機器では、アプリをダウンロードして様々なクラウドサービスが簡単に利用できるだけでなく、クラウドを通じて自宅のパソコンとスマートフォン間で情報が共有でき、サービスを利用する時間と場所の制約から自由になり、利便性が大変高まっています。今では多くの人が「自分がクラウドを利用している」という意識なしに、クラウドの恩恵にあずかっているのです。

 

IoTにおいてもクラウドは大変重要な役割を果たします。IoTの原点は「モノとモノとが相互連携する」ことにありますが、クラウド上の大容量で安価なデータベースに送受信されたデータを大量に蓄積・保管して、他のデータと組み合わせて大規模に解析することで、クラウド上にはさらに多種多様な情報が集積されていきます。個々のデータが単純なものであったとしても、データ同士を総当たりでマッチングすれば、そこから得られる解析情報は新たな価値を生みだします。IoTはクラウドを介することによって、ビッグデータという価値を生むプラットフォームを形成できるのです。