統計とグラフ

その昔、コンピューターが普及していない頃は、グラフの作成は、方眼紙を使って数値データをプロットして、折れ線グラフや、棒グラフなどを手書きで作成しなければなりませんでした。グラフの形や大きさに配慮してスケールを設定し、データをプロットしていくのは大変で骨の折れる作業でした。

 

Excelの登場で、実に簡単にグラフを作成できるようになりました。

 

Excelでのグラフ作成の操作に入る前に、まずは、何のためにグラフを作成するのか、グラフにはどんな効果があるのかをおさらいします。

 

また、グラフにはいろいろな種類があるので、それぞれの特徴を理解して、どのようなグラフにするかを選ぶことが肝要です。グラフの種類ごとの特徴を表に纏めましたので参考にしてください。

 

統計とは

統計という言葉は日常生活でもしばしば耳にします。

データを集めて集計しただけでは、単なる数字の集まりであり、統計とは言いません。

広辞苑では、統計は「集団における個々の要素の分布を調べ、その集団の傾向・性質などを数量的に統一的に明らかにすること。また、その結果として得られた数値」とあります。

つまり、「何かについて」という目的に沿って、集団の要素毎に、数量を調査し、集計し、傾向と性質を明らかにするものが統計なのです。

 

統計データを整理して、分析したり解析したりする手法として、グラフと表があり、総称して統計図表といいます。(グラフのことを統計グラフあるいは統計図表と呼ぶ人もいます。)

グラフは、数値だけでは読みとりづらい情報を、視覚化してわかりやすくすることを目的に作成される、図形のことを言います。

 

数値を文字だけで伝えようとすると、回りくどい表現や理解しづらい表現になってしまうような場合でも、適切にグラフ化すれば、一目で理解してもらえる可能性が高くなります。

グラフは、データの分布、推移、内訳、比較を見るのに適していますが、細かい数値の分析には向きません。

 

細かな分析には表を活用します。表はデータを分類したり、整理したりするのに適していますが、数字がたくさん並んでいると見づらい時があります。また値を比較する場合は、数値を一通り見なければなりません。グラフであれば一瞬で比較できます。

 

グラフの効果

グラフには以下の効果があります。

  • 数値の大きさや移り変わり(推移)が瞬時にわかる
  • データの比較ができる
  • データ分析に役立つ
  • 将来予測に役立つ
  • グラフ化したことで気づかなかった情報に気づくことがある

資料づくりにグラフは欠かせませんが、後述のように、グラフには様々な種類があり、どのようなグラフを選ぶかによって、読み手への伝わり方が変わりますので、いろいろ試してコツを掴んでください。

 

グラフ作成はExcelが大変便利です。Wordやパワポ(PowerPoint)にもグラフ作成の機能がありますが、操作方法や機能の面では圧倒的にExcelの方が使いやすいです。Wordやパワポの文書でグラフを挿入する時も、Excelでグラフを作成しておいて、コピー&貼り付けなどで挿入することをお勧めします。詳しくは「Excelとの連携」ページを参照ください。

 

グラフの種類と特徴

グラフの種類は様々で、それぞれ特徴があります。伝えたい情報を的確に表現する種類のグラフを選ぶことが肝要です。主なグラフの種類と特徴は下表の通りです。

他にも株価チャートや等高線などもExcelで作成することができます。

 

目的別には、以下のように考えれば良いでしょう。

  • 量の大小を表現するときは、棒グラフ
  • 推移を強調するときは、折れ線グラフ
  • 推移とともにその要因を示したいならば、積み上げ棒グラフ
  • 割合を表現するときは、円グラフ
  • 割合の変化を表現するときは、帯グラフ
  • 2種類のデータの関係を示したいならば、散布図
グラフ種類 特徴 備考
棒グラフ 

棒の高さで、量の大小を比較する。

横軸に時系列(年や月など)データを取れば、推移も表現できる。 
縦棒グラフが基本。他にも、横棒グラフ、積み上げ棒グラフ、 3-D棒グラフなどがある。
折れ線グラフ

量の増減の変化の度合や方向をみる。

横軸に時系列(年や月など)データを取って、推移を表したい時に使う。

複数のデータの推移を見る時は、色や折れ線の種類を変えるなどして、区別を付ける。

他にも、面グラフ(エリアグラフ)、3-D面グラフなどがある。

円グラフ

全体の中での構成比をみる。

円全体を100%として、項目ごとの扇の大きさで、値の大小が一目で分る。

他にも、ドーナツグラフ、補助円付きグラフなどがある。
帯グラフ

帯全体を100%として、各項目の構成比を長方形の面積で表す。

複数データの構成比を比較するのに適している。

複数の帯グラフを並べることで、円グラフに比べて、比率の変化を確認しやすい。
ヒストグラム

データの散らばり具合をみる。

度数分布表(データをいくつかの区分に分けて個数や頻度を纏めた表)に基づくグラフ。

見た目は棒グラフに似ているが、それぞれの棒が全体の一部(度数分布)となっており、棒グラフとは別物。
レーダーチャート

複数の指標をまとめてみる。

中心線から放射状に伸ばした線の上に描く。

評価レベルや満足度などを視覚化する時に用いる。
散布図

2種類のデータの相関をみる。

点の集合体やバラツキ具合を見て、データ間の関連性や傾向を把握できる。

縦軸と横軸にそれぞれ別の量をとり、データがあてはまるところに点を打って示す(プロットする)。
バブルチャート

3種類のデータの相関をみる。

(散布図の一種)

2種類のデータの量を縦軸と横軸で表し、3つ目のデータの量を、プロットした場所の円の大きさで表す。
箱ひげ図

複数のデータのバラツキ具合をみる。

「箱」(25%~75%の範囲)と「ひげ」(上端:最大値、下端:最小値)によって構成される。