ホームページとブログ

ホームページとは

ホームページ(Homepage)という用語はおなじみかと思いますが、実はその使われ方は様々で、実に曖昧です。ウィキペディアではホームページの用法を以下のように分類しています。

  1. Webブラウザの用語で、起動時に表示されるように設定されたWebページ(=起動ページ)
  2. Webブラウザの用語で、ホームボタンを押した際に表示されるように設定されたWebページ
  3. インターネットの用語で、Webサイトの表紙にあたるメインページのこと(=トップページ)
  4. Webページの意。Webページのアドレスをホームページアドレスということもある
  5. Webサイトの意。企業・団体が運営する公式Webサイトを公式ホームページということもある。ホームページ・ビルダーなど、ソフトウェア名としても利用される
  6. Webサイトの中でも個人が運営するサイトのみを指す場合。ブログを含まず「ホームページやブログ」という使い方もする

Webブラウザの起動ページ(上記の1)が本来の意味でしたが、日本ではインターネットを通じてブラウザで表示する情報画面全般(上記の4)や、企業や個人が運営するWebサイト(上記の5、6)の意味で使われることが多いようです。

 

ここでは、ブログと区別して上記の6の意味で解説します。つまり「ホームページの作り方」とか「ホームページ構築サービス」とかで使われるホームページというものです。

 

ホームページの進化

インターネットは、研究者が情報を簡単に閲覧できる方法として、ハイパーテキスト(HyperText)と呼ばれる文書同士を繋げる仕組み(具体的には、文書中に別の文書のURLへの参照を埋め込むハイパーリンク(HyperLink)と呼ばれる手法)が開発されたことに端を発して、発展してきました。

 

HTML(HyperText Markup Language)と呼ばれるハイパーテキストを使った文書の記述方法は比較的単純で分かりやすいものでした。HTMLで文書を作成するためのツール(ホームページ作成ソフト)と、HTMLで作成された文書を閲覧するためのツール(Webブラウザ)も開発されました。

 

初期のHTML文書はテキストのみでしたが、やがて色付きのテキスト、グラフや写真などの画像なども扱えるようになり、さらには音声や動画などの組み込みもできるようになりました。

 

1990年代半ば頃より、WordなどのOffice文書に関して、文書の構造と体裁(見栄え)を分離させるという理念からスタイルシートという手法が生まれ、HTML文書に関しても、構造(HTMLで記述)と体裁(CSS:Cascading Style Sheets と呼ばれる言語で記述)で記述方法を分けるようになりました。

 

CSSは、HTMLと組み合わせて使用する言語で、HTMLがWebページ内の各要素の意味や情報構造を定義するのに対して、CSSではそれらをどのように装飾するかを指定します。 例えば、Webページがスクリーンに表示される際の色・サイズ・レイアウトなどの表示スタイルや、 プリンタなどの機器で印刷・出力される際の出力スタイル、 音声で読み上げられる際の再生スタイルなど、 Webページをどのようなスタイルで表示・出力・再生するかについては、CSSで記述するのです。

 

CSSの登場でホームページの作成は複雑さが増し、専門家に頼るか、CSSに対応しているホームページ作成ソフト(「ホームページ・ビルダー」など)を導入しなければならなくなりました。

その一方で、教育機関や自治体など、組織内の多数の人が更新作業を行うような大きなWebサイトでは、誰でも簡単にホームページに記事を投稿できる仕組みが求められ、CMS(Contents Management Systems)と呼ばれるソフトウェアが開発されました。

 

CMSでホームページが構築されていれば、HTMLやCSSのようなWebサイトの制作に必要な専門知識を必要とせず、テキストや画像などの情報を入力するだけで、記事の投稿ができます。

ただし、CMSをインストールし、デザインテンプレートを使用してWebサイトを構築するまでは、技術的な知識が必要です。そのこともあって、Webサイト構築を専門とする会社の多くがCMSでのWebサイト構築を手掛けています。

 

現在では、自前で運営されている大規模なWebサイトは、ほぼすべていずれかのCMSで構築されています。

なお、後述するブログもこのCMSを背景に生まれたサービスです。

 

さらに、小規模な企業や個人のホームページ向けには、ホームページ作成ソフトが不要で、ブラウザだけでホームページを構築・管理できるサービスが始まりました。Webサイトに必要なハードウェア(サーバなど)とソフトウェア(一種のCMS)ごと、有償で提供(お試しなどのための無償提供のプランもあります)しています。もちろんHTMLやCSSなどの専門知識は不要というものです。

現在では、新たに構築される小規模なWebサイトはいずれかのホームページ構築サービスを利用していると言って過言ではないでしょう。

ちなみに、この「ITリテラシを高めよう!」のWebサイトもこの種のサービスを利用したものです。

 

主なホームページ作成ソフト、CMS、ホームページ構築サービス

以下は、民間企業向け、個人向けのホームページ作成ソフト、CMS、構築サービスの主なものです。

自治体向け、教育機関向けには、メーカー、ソフトウェアサービス会社がそれぞれ様々な製品を販売しています。

 

ホームページ・ビルダー

日本IBMが開発し1996年に発売が開始され、現在はジャストシステムが開発、販売、サポートを行っている初級者向けのホームページ作成パッケージソフトです。2000年代を通じてこの種のパッケージソフトの売上第1位を占めていました。CSSにも対応しています。

2012年に発売された「ホームページ・ビルダー17」からは、後述のWordPressにも対応し、レンタルサーバ上にWordPressをインストール、Webサイトの構築、更新ができるようになりました。

最新バージョンは2016年に発売開始された「ホームページ・ビルダー21」です。

 

WordPress(略称:WP)

CMSの中でもっとも有名なのがWordPressです。いわゆるオープンソースのソフトウェアで、基本的には誰でも無料で使えます。

2003年に登場し、頻繁に更新されています。最新バージョンは2019年11月の5.3です。

現在、世界のWebサイトの約3分の1はWordPressで作成されているとまで言われていて、個人のブログから企業のホームページまで幅広い用途で利用されています。

書籍も多く出版されていて、HTMLとPHPの知識があれば導入も簡単で、カスタマイズもしやすいです。

WordPressの大きな特徴としては、無料で誰でも利用できるほか、WordPressに関わる情報の多さ、サードパーティからのプラグイン(WordPressに追加機能を簡単に付与することができるオプションのソフトウェア)の豊富さがあげられます。

 

Movable Type(略称:MT)

シックス・アパートが開発し2001年に登場した、ブログ形式でホームページを作成できるCMSです。難しい操作方法を覚える必要はほとんどなく、文字の入力と写真の貼り付けだけでWebページを作成・更新できます。ブログの普及はMovable Typeのおかげと言って過言ではありません。

WordPressが誕生しブログに留まらないCMSに発展すると、Movable Typeもオープンソース版を発表して、同様に発展するというふうに競っていましたが、今ではWordPressの方が圧倒的なシェアを誇ります。オープンソース版の提供も中止されています。

 

NOREN

NORENはアシストが開発し、2002年に登場した国内産のCMSです。現在は子会社の「のれん」が提供サービスを行っています。

シンプルかつ使いやすいことに加え、静的CMS(閲覧ページを事前に生成)と動的CMS(ページにアクセスするたびにページを動的に生成)の要素を組み合わせたことで、両者の「いいとこ取り」をしていることが特徴です。静的CMSのメリットであるセキュリティや運用面の安定性を維持しつつ、動的CMSでWebサイトの表現の幅を広げることに成功しているといえましょう。

但し、最小の提供価格が1,000万円以上となっているので、小規模企業には向きません。

 

Jimdo(ジンドゥ)

Jiimdoは2007年にドイツで生まれ、現在世界では2,500万サイト超がこのサービスを利用しています。

日本では、KDDIウェブコミュニケーションズが2009年に提供を開始しました。現在、170万サイト超と、国内トップの利用者数を誇っています。

サーバやHTMLなどの専門的がなくてもホームページが作れるクラウド型のホームページ構築サービスのひとつです。デザインテンプレートを選び、プレビュー画面(公開時のレイアウト)から、マウスでクリックとドラッグ&ドロップを行うだけで、直感的にホームページが作成できます。自社ホームページの雰囲気にあったデザインを探し、写真と文章を入力するだけで良いため、Web制作に関するスキルや知識がない人でも利用できます。

無料プランが提供されているため、予算不要でホームページを作ることができ、NPOやサークス団体などのホームページ構築に重宝されています。

ホームページを持たない中小企業への展開を推進するために、Googleが「みんビズ(みんなのビジネスオンライン)」という名称で、2011年から3年間有料プランの1年間の無料サービスを推進しました。中小企業(特に小規模企業)には最適なホームページ構築サービスと言えるでしょう。残念ながらこのサービスは既に終了し、KDDIグループが「はじめてWeb」という名称で同種のサービス提供を続けていましたが、KDDIも2020年10月にこのサービスを終了してしまいました。

 

Wix(ウィックス)

Wixは2008年にイスラエルで生まれ、現在世界で1億6,000万サイト超と、世界で最も利用されているクラウド型のホームページ構築サービスです。

2013年から日本語版が提供開始され、伸び盛りのサービスです。明確な数字は明らかにされていませんが、NTTタウンページのプレスリリースによれば、現在日本のユーザー数は数百万とのことです。

簡単さに加え、数百種類ある洗練された品質の高いデザインテンプレートが人気です。ボタンや文字、画像などをドラッグ&ドロップでホームページ上に配置していくことができ、Jimdoと比較してより小回りの利く画面を制作できます。Wixはサポートが充実しているのも特徴です。ホームページ作成講座や作成事例も見ることでき、ヘルプセンターでは使い方解説や困り事対処法がまとめられています。

2019年9月、NTTタウンページがWixと戦略的業務提携を結び、中堅・中小企業のデジタル・マーケティングを支援するサービスを開始しました。Webを使った集客・成約を目指す企業にとっては魅力的なサービスといえるでしょう。

 

ブログとは

ブログ(Blog)は、Webにログする(Weblog)の略から生まれた言葉で、執筆者(ブロガー)の個人的な体験や日記、ニュースや時事などの話題をインターネット上に記すWebサイトのことを言います。

 

執筆された個別記事は、執筆(投稿)日時とタイトルおよびカテゴリを付けて記録され、最新の記事から順に遡って閲覧できるようになっているほか、カテゴリ別にも閲覧できるようになっています。

 

ブログは2000年代初頭に誕生し、ブログ向けのソフトウェア(Movable TypeやWordPressなどが有名)や、ブログサービスサイトを利用することで、HTMLを知らなくても、自身のブログとしてWebブラウザから手軽に情報の発信・更新ができるから、爆発的に利用が広まりました。

ブログサービスサイトを利用すれば、パソコン以外に携帯電話などモバイル通信端末のインターネット機能を用いて、外出先などからの手軽に更新できるのも重宝されている要因です。

 

ブログは、個人の日記的なものから、手軽な意見表明の場として、時事問題などについて論説するもの、企業やクリエイター集団が、対外的な活動日誌などという位置づけで、自社公式サイト内で公開しているものまであり、様々な用途で使われています。

 

ブログやSNSでの発言や投稿した写真が世間に対し影響を及ぼすブロガー達は、インフルエンサーと呼ばれています。

 

日本の主なブログサービスサイト

ホームページとブログ、およびSNSの比較

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