スマホの普及にともない、最近ではインターネットでラジオが聴けるWebサイトやアプリが増えています。
インターネットラジオやポッドキャストといった言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、AMラジオやFMラジオのような今までのラジオと何が違うのか知らない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、インターネットラジオと普通のラジオの違い、インターネットラジオの特徴やメリットについて詳しく解説していきます。
また様々なジャンルの番組が楽しめる人気のインターネットラジオサービスも紹介します。
AMラジオやFMラジオのような普通のラジオのように電波を使用するのではなく、インターネット回線を通じて音声番組を配信するコンテンツです。
インターネット接続環境であれば、安定した音質で受信でき、普通のラジオのようにアンテナの向きで音質が変わるということがありません。全世界で受信できるので、海外のラジオ番組も聴くことができます。
また、もう1つ普通のラジオ放送と異なるのは放送内容です。
著作権や放映権の関係で、普通のラジオでは放送できてもインターネットラジオでは放送できない番組や楽曲があります。
一方で、電波を使わないため、放送免許は不要です。ジャンルも幅広いため、興味や関心に合った番組を見つけやすいです。
スマホやPCで気軽に聴ける
従来のAMラジオやFMラジオは、電波を受信するための専用の受信機が必要です。
一方、インターネットラジオは、インターネットに接続できる環境さえあれば、指定のWebサイトやアプリからスマホやタブレット、PCで聴くことが可能です。
中にはAlexaやGoogle Homeなどのスマートスピーカーに対応しているサービスもあります。
場所や時間にかかわらず聴ける
普通のラジオ放送は、受信機の周波数を聴きたい放送局の周波数に合わせることで電波をとらえます。そのため、地域によって入る電波が異なり、聴けるラジオ放送が限られます。
一方、インターネットラジオの場合、日本全国のラジオ放送が聴けるエリアフリーに対応しているサイトやアプリがあります。また、国内だけでなく海外の番組を聴けるサービスもあります。
普通のラジオ放送のようにラジオ局からの距離や電波の強さ、周囲のノイズによる影響を受けることもないので、インターネット環境さえあれば、どこでもクリアな音質でラジオを楽しめます。
また、タイムフリーに対応している番組の場合、リアルタイムで聴き逃してしまっても決められた期間内であれば、後から聴くことが可能です。
自由度の高い番組が多い
電波を使わずに番組を配信するため、従来の放送局のように放送免許を取得せずに配信ができます。加えて、番組制作費も比較的安価であることから、新規参入しやすく、自由度の高い番組が多くみられます。
また、番組数が多く、幅広いジャンルの番組があるため、興味関心に合った番組を見つけやすいのも魅力です。
勉強や家事の間のバックミュージック
情報収集ツールとしてだけでなく、勉強や家事などの作業中に流しておくバックミュージックとしても活用できます。
中には洋楽や邦楽、クラシックなどの音楽に特化し、24時間音楽を流し続ける番組もあるので、音楽プレイヤーの代わりとしても楽しめます。
教養番組を学習に役立てる
教育カテゴリも豊富で、語学や試験対策、一般教養、雑学など、身につけたい知識に合わせて好きな番組を選べます。
10〜15分ほどの短めの番組が多いので、通学・通勤中などに少しでも知識を増やしたいというときにもおすすめです。
またダウンロード可能な番組であれば、あらかじめダウンロードしておき、空いた時間にまとめて学習することができて便利です。
災害時の情報収集
災害時に情報を得る手段として、インターネットラジオの有用性が注目されています。
災害時の情報収集にはラジオが役立つといわれていますが、電波が弱く聴けない場合があります。
そうした状況下でもインターネットラジオはインターネット環境さえ整っていれば、聴くことが可能です。
外出先で災害が発生し、手元にラジオがない場合にもスマホを持っていればインターネットを通じてラジオを聴くことができます。
ただし、災害時にはインターネットも使えない可能性があるので、普通のラジオとインターネットラジオの両方を用意しておくとよさそうです。
インターネットラジオには「生放送」「オンデマンド放送」「サイマル放送」の3種類があり、それぞれ配信方法や視聴方法が異なります。
リアルタイムで放送されるインターネットラジオで、「ストリーミング放送」「ライブ配信」と呼ばれることもあります。録音放送では間に合わないニュース番組やスポーツ番組は生放送が多いです。
リアルタイムならではの臨場感や一体感があり、リスナーの質問にその場で答えるコーナーなどリスナー参加型の放送も多いのが特徴です。
あらかじめ録音しておいた音源を配信するタイプのラジオ番組です。番組表に従って決まった時間に配信される番組や、音源をダウンロードして再生する番組など配信方法は様々です。
生放送とは異なり、毎回一定のクオリティーを保った番組が作れるため、ラジオドラマや教養番組、音楽番組といったジャンルは録音放送が多くなっています。
また、ダウンロード可能な番組であれば、スマホなどにダウンロードして何度でも再生できます。中には番組が更新されると通知されるものや、自動で受信されるものもあります。
1つの放送局で放送している番組を他の放送局でも同時放送することを指します。
日本では、2010年にradiko.jpが民間ラジオ局のインターネットラジオとの同時放送を開始しました。以来、サイマル放送は拡大し、現在は全国各地の民間放送がインターネットを通じて聴けるようになっています。
なお、民間放送局のサイマル放送を視聴するには、毎回料金を支払うケースや有料での会員登録が必要なケースが多いです。
【便利知識】
サイマル放送では、地上波放送に比べて数秒~最大2分程度の遅れ(タイムラグ)が発生します。
世界には5万局以上のインターネットラジオ放送局があると言われています。個々人が個別の放送局のサイトを指定するのは大変ですので、通常はインターネットラジオサービスプロバイダのサービスを介して、聴きたい放送のジャンルや国・都市、あるいは音楽であれば音楽のジャンルや演奏家・曲などを指定して検索を行い、その放送局を聴取します。
インターネットラジオサービスプロバイダは、一般にパソコンからはブラウザで、スマートフォンやタブレットからは専用のアプリを介して、インターネットラジオ局の検索と放送を仲介して流す機能を提供しています。
以下に、主なインターネットラジオサービスを紹介します。
サービス名 (アプリ名) |
提供会社 | 放送の種類 | 特徴・備考 |
radiko.jp | radiko |
リアルタイム 録音 サイマル |
2010年3月に民間ラジオ局のサイマル放送を日本で最初に導入した国内限定のインターネットラジオサービス その後NHKも正式参加し、現在は全国のラジオ局が参加 無料サービスでは各ラジオ局が規定する配信エリア内の放送のみ聴取可 有料会員(385円/月)はエリア外の放送も聴取可 過去1週間分の番組を聴けるタイムフリー機能はあるが、録音機能は提供されていない |
(らじる★らじる) |
NHK |
リアルタイム 録音 |
NHKが独自に提供する国内限定のインターネットラジオサービス(公式名称は「NHKネットラジオ」、「らじる★らじる」は愛称) 「ラジオ第1(R1)」、「ラジオ第2放送(R2)」、「NHK-FM放送」の3局に対応 聴き逃し番組の配信サービスあり 放送権やタイムラグ等の関係で一部配信されない放送あり(時報、国際スポーツ大会、政見放送など) |
ラジオクラウド (アプリのみ) |
博報堂DYメディアパートナーズ |
録音 |
TBSラジオを中心に全国約70局の番組の好きな番組をダウンロードしていつでも再生できるというもの 録音放送のみの配信で提供される番組は限定的 通常番組以外に抜粋版やこぼれ話なども配信 Webサイトでの配信サービスは2020年3月で終了 |
コミュニティFM局のインターネットラジオ対応
日本には約340局のコミュニティFM放送局があり、内約250局が日本コミュニティ放送協会(JCBA)に加盟しています。
約9割のコミュニティFM放送局は何らかの方法でインターネットで放送を配信しています。
大手のAM/FM放送局の配信方法は、Radiko(とNHKのらじる★らじる)にほぼ集約されましたが、コミュニティFM放送局の配信方法には数種類が混在している状況です。各配信方法は50~130局程度しかカバーできていないこともあり、多くの放送局が複数の配信方法に参加しています。以下は主な配信方法です。
サービス名 アプリ名 |
運営会社 |
放送 局数 |
特徴・備考 |
JCBAインターネットサイマルラジオ | 日本コミュニティ放送協会(JCBA) |
130 |
難聴取の解消、防災および災害時の放送確保などを目的に2012年より運用開始 JCBA加盟局であることが前提 聴取方法はブラウザで、専用アプリは提供ないが、TuneIn Radioでは聴取可 聴取エリアの制約はない 原則、各局が独自または共同で制作し著作権を保有している番組に限定 例外としてミュージックバードの番組、J-Waveの番組の再送信をしている放送局あり |
Community SimulRadio Alliance(CSRA) 事務局 |
119 |
2008年サービス開始 スマホ用の専用アプリあり PCではWindows Media Playerが必要 聴取エリアの制約はない 原則、各局が独自または共同で制作し著作権を保有している番組に限定 例外としてミュージックバードの番組、J-Waveの番組を再送信をしている放送局あり |
|
(リスラジ) |
ディーピーエヌ |
89 |
2012年サービス開始 スマホ用の専用アプリあり PCではブラウザで聴取可 聴取エリアの制約はない 原則、各局が独自または共同で制作し著作権を保有している番組に限定 例外としてミュージックバードの番組、J-Waveの番組を再送信をしている放送局あり |
(エフエムプラプラ) |
スマートエンジニアリング | 64 |
ラジオ放送のサイマル配信に加え、災害・防犯・交通・インフラ・イベントなどの地域情報をPUSH型で配信する機能を有しているのが特徴 スマホ用の専用アプリあり 一部の放送局はPCのブラウザでは聴取不可 聴取エリアの制約はない |
FM聴(エフエムてい) for Community |
近畿コンピュータサービス |
69 |
全国のコミュニティFM局が聴けるスマホ用アプリ 有料(Android300円、iOS370円) 特定放送局向けのアプリは無償で配布 例 FM聴 for FM丹波 |
アプリ名 | 提供会社 | 放送の種類 | 特徴・備考 |
TuneIn Radio | TuneIn |
録音 |
世界10万以上(内、日本のラジオ局は約230)のインターネットラジオ放送局・ポッドキャストに対応 音楽番組、スポーツ実況、ニュース、ポッドキャスト等をストリーミング再生 ジャンル別・地域別・言語別などのカテゴリ検索とキーワード検索 「自動車モード」「スリープタイマー」機能あり 最新のネット接続可のテレビ機器やGoogle HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカーに対応 有料アプリ(TuneIn Radio Pro:約1,200円)は広告非表示(録音機能は削除された) 月額制プラン(TuneIn Premium:9.99ドル/月)では録音が可 |
Appgeneration Software |
録音 |
200ヵ国、5万局以上(内、国内約350局)のインターネットラジオ局と100万以上のポッドキャストを網羅 ユーザー数 4,000万人以上 おすすめ機能(人気順)、アラーム機能、スリープタイマー機能あり AppleTV、Google Home、Amazon Alexaなどに対応 有料アプリ(myTuner Radio Pro:800円)では広告なし 国内向けアプリは「my Tuner Radioラジオ日本 FM/AM」 ジャズやクラシックファン向けの専用アプリもあり |
|
(ラジオFM) |
RadioFM | リアルタイム |
日本のラジオ局250局以上を含む世界5万局以上のラジオ放送の聴取可 ユーザー数世界5,000万人以上 NHKは聴けるが、大手民放のラジオ局には対応していない |
(シンプル・ラジオ) |
Streema | 録音 |
世界約4万局のラジオ放送の聴取可 カテゴリ別の検索はなく、ワード検索のみのシンプルな仕様 お気に入り局の登録機能あり Webサイトでのサービス名は「Streema」 有料登録(340円)するとスリープタイマー機能が利用可 |
Jango |
録音 |
洋楽専門のインターネットラジオサービス 入力したアーティストや曲に関連する音楽を自動的に選別してランダムに流し続ける仕組み ステーションを作成し、好みの曲に絞っていくことができる 広告が無く、BGMには最適 |
ポッドキャスト(Podcast)とは、インターネット上に音声や動画などを公開し配信する仕組みのひとつで、その仕組みを使って配信した番組自体のことでもあります。
2000年代の初頭に、アップル社の携帯型音楽プレイヤーの商品名「iPod」が発売され、RSS(Webサイトのコンテンツの更新情報を配信する技術の一種)を通して、インターネット上にアップロードした音声ファイルを受け取り、それを保存してラジオのように聴けるようにしたことが始まりで、「iPod」と放送を意味する「broadcast」を組み合わせて、ポッドキャスト(Podcast)と呼ばれるようになりました。
元々は「iPod」に音楽などの音声ファイルをダウンロードして利用するためのものでしたが、今ではPCや、アップル社製の「iPhone」・「iPad」だけでなくandroid OSなどの他社製を含む、どのスマートフォン・タブレットでも、音声や動画ファイルをダウンロードしてオフラインで聴いたり、オンラインでストリーミング再生できます。
ポッドキャストのここ数年の人気ぶりはすさまじいものがあります。
2018年6月時点では世界で55万番組(Apple Podcast:TechCrunch記事)であったものが、2021年10月時点では290万番組(Spotify:インタビュー記事)となっています。
ポッドキャストがあまり普及していなかった日本でも、急速に人気が高まっています。
背景としては、スマートフォンが普及しポッドキャストを聴けるアプリやサービスが増えたこと、ラジオ局やテレビ局などの参加により配信されるポッドキャスト番組が多岐にわたり質も向上したこと、ポッドキャストを配信するためのツールが充実し、企業や有名人だけでなく一般人も気軽にポッドキャストを配信できるようになったことなどが挙げられます。
ポッドキャストで配信されている番組には様々なものがあり、一般にジャンル(カテゴリ)別に検索できるようになっています。ジャンルの区分の仕方は配信サービス会社やアプリによって様々です。
「ポッドキャスト国内利用実態調査2020」(2021年1月、朝日新聞+オトナル)によれば、調査対象の日本人1万人の約14%がポッドキャストを利用していて、内1年以内に聴き始めた人が約半数で、きっかけは「情報収集のため」「SpotifyやAmazon Musicで聴けるようなにったから」などが上位とのことです。
普段聴いているジャンル、今後聴きたいジャンルも、ニュースと音楽が双璧で、次いでコメディ/お笑いとなっています(右図参照)。
ポッドキャストを聴く方法は大きく3種類あります。
1つは、ブラウザを使ってポッドキャスト番組を配信・公開しているWebサイトを訪れて、音声や動画ファイルをダウンロードして、メディアプレイヤーなどのアプリで聴くという方法です。中には、ダウンロードしなくても、ストリーミング再生できるサービスを提供しているWebサイトもあり、その場でポッドキャストを簡単に聴きたい時などに向いています。
2つめが、Apple PodcastやGoogleポッドキャストなどの、音声・動画ファイルをダウンロード・再生するための専用アプリを使用する方法です。このアプリにポッドキャスト用RSSへのリンクを保存することで、関連する音声や動画ファイルを一括あるいは選択してダウンロードできるだけでなく、音声・動画ファイルが更新されるたびに自動でそのファイルをダウンロードしてくれます。自分でWebサイトを訪れる必要はありません。複数のポッドキャスト番組を定期的に聴きたい場合に適した聴き方で、最も一般的な方法です。
3つめは、ポッドキャストに対応している音楽配信サービス(Spotify、Amazon Musicなど)、インターネットラジオサービス(TuneIn Radio、myTuner Radioなど)を利用して、ストリーミング再生で聴く方法です。
これらには、多くのポッドキャスト番組が配信されており、無料で聴きたいポッドキャスト番組を検索して聴取することができます。
Podcastは、今でこそ動画も扱えますが、基本は音楽や声などの音声を配信するためのもので、自主制作のラジオ番組を比較的簡単に配信できることが大きな特徴です。つまり一般企業やお店がPRを兼ねた番組を放送したり、プロ・アマを問わずミュージシャンなどが演奏作品を発表する番組を提供したり、一般人が趣味や研究発表の場として番組を構成したり、ということが動画配信より比べてより手軽にできるのです。
簡単にいえば、音声を録音・編集して、それをインターネットに接続しているサーバ上に置き、ポッドキャスト配信サービスに登録する(もしくはサーバ上に置いた音声ファイルのURLに関連付けたRSSを作成し公開する)という流れになります。
音声の録音は、ボイスレコーダーやスマートフォンのボイスメモなどでも録音が可能です。編集もパソコンやスマートフォンで利用できる無料アプリが種々提供されています。つまり費用はほとんどかからずに録音・編集が可能なのです。もちろん、良い音質のものを提供するには、マイクやミキサー、高度な機能を備えた音声や音楽の録音編集アプリを利用した方が良いでしょう。
ポッドキャストの配信に欠かせないのが、音声ファイルの置き場所です。自前で有料のレンタルサーバを用意してアップロードするのが一般的ですが、サーバ利用料無料で置き場所を提供(フリーホスティング)するポッドキャスト配信サービスもあります。別のポッドキャスト配信サービスに登録することを認めるところをあり、このようなサービスを利用すれば、極めて低額な費用で(あるいは費用を全くかけずに)ポッドキャストの配信を行うことができるのです。