DXリテラシ向上対策部会 通信 Vol.7

※本資料は、千葉県DX推進協議会 DXリテラシ向上対策部会の活動状況と参考情報を発信するものです。


目次

 1.共同研究会活動報告

 2.サービス設計12 箇条(第1回:第1条~3条)

 3.セキュリティ事故解説

 4.生成AI について(第1回)

 5.今後の予定案内


■共同研究会活動報告

 2023 年10 月12 日木曜13 時より、R5 年度第1 回「行政手続きオンライン化共同研究会」を18 自治体45 名の方に参加頂きZoom 会議にて開催しました。今回は、元船橋市役所職員で現在デジタル庁にて自治体システムの標準化担当されているNPO 法人Digital Government Labs の千葉大右様にご協力頂き、「書かないワンストップ窓口」の取組みについてご紹介頂き、皆さんで論議致しました。

 主な構成は以下で、具体的な事例を豊富に紹介頂きました。

  (1) 船橋市の取組み

  (2) これまでの窓口と今後の窓口

  (3) 先行自治体の事例

  (4) 窓口DX

  (5) 取り組み方

 参加頂いた自治体の皆様には、書かないワンストップ窓口の取組みが、窓口業務改革=窓口DX であり、住民サービスの向上だけでなく、今後のオンライン化が進む上での職員不足対策や職員満足度の向上にも繋がることとして、非常に参考になったとのご感想を頂きました。

 事務局からは以下の情報提供を行いました。

 ・2022 年度末のぴったりサービス電子申請対応状況報告

 ・自治体通信Online の掲載記事紹介

 

 また、他自治体との意見交換はZoom のブレークアウトセッション機能を使用し、今回は講演終了直後に、講演内容についての意見交換を先に行い、その後に質疑応答を行うという手順としました。参加頂いた皆さんの感想を踏まえ、不明点の質問や追加の確認を行うという進め方にしたことで、質疑応答が非常に活発に行われ、質疑応答の時間が足りないほどでした。

次回もこの進め方を活用したいと思います。


■サービス設計12箇条(第1回:第1条~3条)

 「デジタル・ガバメント実行計画」(平成30 年1 月16 日e ガバメント閣僚会議決定)で、 プロジェクトを成功させ、利用者中心の行政サービスを提供するために必要となるノウハウを、「サービス設計12 箇条」として示しております。各項目の相関関係を図式化したものを以下に記載します。

引用元:サービスデザイン実践ガイドブック β版

今回は、第1条から3条までをご説明します。

<デジタル・ガバメント実行計画より引用>

第1条 利用者のニーズから出発する

 提供者の視点ではなく、利用者の立場に立って、何が必要なのかを考える。様々な利用者がいる場合には、それぞれの利用者像を想定し、様々な立場から検討する。サービス提供側の職員も重要な利用者として考える。ニーズを把握するだけでなく、分析によって利用者が抱える課題・問題を浮き彫りにし、サービスの向上につなげる。

 

第2条 事実を詳細に把握する

 実態の十分な分析を伴わない思い込みや仮説に基づいてサービスを設計するのではなく、現場では何が起きているのか、事実に基づいて細かな粒度で一つ一つ徹底的に実態を把握し、課題の可視化と因果関係の整理を行った上でサービスの検討に反映する。データに基づく定量的な分析も重要である。

 

第3条 エンドツーエンドで考える

 利用者のニーズの分析に当たっては、個々のサービスや手続のみを切り取って検討するのではなく、サービスを受ける必要が生じた時からサービスの提供後まで(エンドツーエンド)の、他の行政機関や民間企業が担うサービスの利用まで含めた利用者の行動全体を一連の流れとして考える。

 

 第1条、2条の記載内容は、10月12 日の共同研究会で、「書かない窓口」に関する講演で千葉様にお話しいただいた、「現状 課題 を把握する」に通じる話になります。千葉様の講演では、具体的な実施内容として「窓口利用体験調査」の紹介がありました。また、「サービス利用者は住民だけではなくサービス提供側である職員も含まれる」というお話しも頂きました。

 第1 条に書かれている「それぞれの利用者像を想定し、様々な立場から検討する。」ための具体的な手法としてペルソナを設定する方法があります。ペルソナの設定やペルソナ分析については、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室の「サービスデザイン実践ガイドブック(β版)」27ページ以降をご参照ください。

 

※関連情報

 サービスデザイン実践ガイドブック(β版)(H30年3月、内閣官房IT総合戦略室)


■セキュリティ事故解説

 今回は、不要なデータ・機器を適切に削除破棄することの必要性についてご説明します。 以下のNHK ニュース報道では、大阪の児童クラブで、体温を測るサーマルカメラ内に市民の顔写真が大量の保存されていることに気づかず、カメラをインターネット上のフリーマーケットサイトで売ってしまった、という事例が紹介されています。

 パソコンやデジタルカメラ、USB メモリなどの情報機器については、情報漏洩を防ぐ目的で廃棄について明確な取り決めがされておりますが、サーマルカメラのように一見情報が保存されているとは思えない機器にも個人情報が残っている可能性があります。機器購入時に情報資産管理簿への登録要否等、検討を行う必要があります。

 また、地方公共団体では、「保存期間」が規則で定められている情報が多数ありますが、一方で、情報を「削除すること」についてはルールが定められていないこともあるのではないでしょうか。「持つだけでリスクになる」ことを認識していただき、適切な保存期間を設けてそれを過ぎたら削除することもルール化していくことが必要です。


■生成AIについて(第1回)

―AI のいま―

 人工知能が質問に答えるOpenAI 社の「ChatGPT 」や、指示した絵(あるいは写真)を描くS tability AI 社の「S table Diffusion 」など、いわゆる「生成AI 」が注目を集めています。

 人工知能の研究が始まったのは1950 年代。その後、エキスパートシステムや機械翻訳などの新しい技術が登場するたびに注目を集めてはブームが去る、ということを何度も繰り返してきました。

 2010 年代に入ると、ニューラルネットワークとディープラーニングが注目を集め、画像処理や自然言語処理(NLP ; Natural

Language Processing Processing)に導入されると、多くの場面で従来の手法を凌駕するようになりました。ニューラルネットワークは、人間の脳が情報を処理する仕組みを模倣したコンピュータプログラムです。複数の層から構成され、各層は多数のノード(ニューロン)で構成されています。ディープラーニングは、ニューラルネットワークを基盤とした機械学習の一種です。多層のニューラルネットワーク(深層学習モデル)を使用して、大量のデータから特徴やパターンを自動で学び取ります。

 ChatGPT をはじめとする自然言語処理は格段の進歩を遂げ、質問に対して、まるで人間が答えているような自然な言葉で返事をすることができるようになりました。また、画像生成AI も、ゴッホやモネが描いたようなイラストや、現実にいる人のような写真を生成することができるようになりました。

 

 しかしながら、AI にはまだまだ弱点が存在します。例えば、ChatGPT で苦手なことのいくつかを以下に挙げます。

1.最新の情報に関する質問

 AI がテキストを学習した時点までの情報しか答えることができません。ただし、M icrosoftBing のチャットのように、検索エンジンを活用しながら回答するAI も登場しています。

2.非常に特定的な情報に関する質問

 特定の人や地域、出来事に関する詳細情報を要求するような質問、高度に専門的な分野については、データベースに十分な情報がなく、正確な答えは期待できません

3.主観的または意見を求める質問

4.計算問題

 簡単な計算や基本的な統計処理は可能ですが、複雑な計算や高度な統計解析機能は持っていません。

 

AI によって生成された文章を使う場合は、文章の内容の真偽を確認(ファクトチェック)する必要があります。


■今後の予定案内

 共同研究会は下記3 回の開催を予定しています。いずれも1 時間半のオンライン(Zoom)開催です。場所と参加人数は問いません、千葉県DX 推進協議会の会員有無も問いませんので、気楽に参加ください。

 第2回共同研究会

 11月22日水曜

 16:00~17:30

・マイナンバーカード徹底活用

・CIO 補佐官の役割

 第3回共同研究会 

 2月後半で調整中

 

 ・将来像としての電脳市役所(メタバースの活用)

など

研究会開催の準備が整いましたら、メールにて連絡いたしますので「ちば電子申請システム」から参加申し込みをお願いします。


■(参考)ITリテラシ向上サイト

下記はR3年度までの千葉県地域IT化推進協議会 ITレテラシ向上対策部会の活動として発行したメルマガをまとめたものです。参考にして下さい。なお、現在メルマガ発行は終了しています。

 

ITリテラシを高めよう! 


※本資料は共同研究会参加メンバーおよび協議会メンバーを対象に、千葉県が配信しております。

 

発行:千葉県DX推進協議会 DXリテラシ向上対策部会

     部会長:特定非営利活動法人 ITCちば経営応援隊 浅井 鉄夫

     事務局:特定非営利活動法人 ITCちば経営応援隊 加野 隆司

         電話 080-3425-8779 電子メール t.kano2005@gmail.com

     監事 :千葉県DX推進協議会 事務局 千葉県総務部 デジタル戦略課 島田 悟

 

次回発行予定 2023年12月上旬