グループウェア(Groupware または Collaborative Software)とは、イントラネットあるいはインターネットを活用して、ネットワークに接続したユーザー間で、情報の共有、円滑なコミュニケーション、協調した業務への取り組みを支援することで、組織における業務効率の向上を図るためのソフトウェアあるいはそのサービスのことを言います。
グループウェアを導入する期待効果としては、申請や報告処理などの各種業務の効率化、コミュニケーションや情報共有の円滑化、進捗状況や設備利用状況などの可視化、ペーパーレスやテレワークの促進などが挙げられます。
グループウェアには、以下のような様々な機能が統合されていて、それらが有機的に連携して働く仕組みになっています。
個人スケジュールとグループスケジュールが同時並行で管理できます。上司や同僚の行動予定も一目で把握でき、会議の時間調整や行事の日程調整を効率よく行えます。
会議室、プロジェクタ、社用車など、組織の共用設備を一元的に管理でき、ユーザーは随時オンラインで利用状況の確認や予約ができます。
一般的に、スケジュール管理機能と連携できるようになっています。
人事連絡など、通達事項やお知らせを掲載して組織内の情報共有を図る機能です。公開期間の設定、発信する内容や部門ごとの分類分け、閲覧可能なユーザーの限定などができます。
公開にあたって上司などの確認・承認を必要としたり、コメント記入を制限したりすることもできます。
上司の承認や担当部門への提出が必要な各種の書類や伝票を「申請フォーム」として電子化して、それに記入・申請することで承認・回覧のフローに載せて、承認・却下などをシステム的に行うことができる機能です。
入力内容のチェックや金額の計算等を自動で行う申請フォームを登録できたり、申請フォーム毎に誰が承認するかの承認経路も、組織や申請内容(例えば金額の大小など)に合わせて柔軟に設定できたりします。
承認状況はオンラインでいつでも確認できます。
社内の規定集、契約書の雛形、仕様書などの文書ファイルや画像データなど、日々参照する重要な社内文書類を一元管理して、ユーザー間で共有できます。
主なグループウェアは、オンライン環境で自由にユーザー間の意見交換などを行うことができるように、電子メール、チャット(メッセージ送信)やビデオ会議などの機能が備わっているか、もしくはそれらの機能の外部システムと連携できるようになっています。
個人のタスク(担当する作業や依頼された仕事)とチームメンバーに依頼したタスクを一元管理して、期日や重要度、タスクの進捗状況を画面上で逐一確認することができます。
チームメンバー全体のタスクの状況がガントチャート形式で表示されるので、進捗率や完了期限がひと目で把握でき、遅れが発生しているタスクを速やかにチームでフォローすることにつながります。
グループウェアには、サーバ、ネットワーク、専用ソフトウェアなど一式をすべて自己調達して運営するオンプレミス型と、インターネットを経由して、グループウェア提供会社が用意したサーバとソフトウェアを利用するクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型 | クラウド型 | |
メリット |
セキュリティが強固 カスタマイズができる インターネットへの接続が不要
|
導入費用が安い 導入に時間がかからない 外出先でも利用できる 運用・維持に専門的な知識が必要ない |
デメリット |
導入費用が高い 導入に時間がかかる 外出先で利用できない 運用・維持に専門的な知識が必要 |
セキュリティがオンプレミス型ほど強固でない カスタマイズがしにくい インターネットへの接続が必須 |
大規模な組織や情報セキュリティを重要視している組織では概ねオンプレミス型が採用されています。また、中小企業などでは、クラウド型の利用が広まっています。
なお、当初のグループウェアはユーザー(クライアント)端末にインストールした専用のソフトを用いるクライアント・サーバ型のシステムでしたが、現在普及しているグループウェアは、クラウド型は無論、オンプレミス型でも、ユーザー端末はブラウザ を使用するシステムが主流になっています。
スマートフォンに対応したクラウド型のグループウェアもあり、中には専用のアプリが用意されているものもあります。
製品名 | 提供会社 | 特長・備考 |
サイボウズ Garoon | サイボウズ |
中堅・大企業向け。クラウド版もある。 官公庁・公共団体・教育機関向けの特別ライセンスあり。 |
サイボウズ Office | サイボウズ |
1997年に登場したグループウェアの先駆的なシステム。 中小企業向け(利用者数300名程度まで)。クラウド版もある。 カスタム(標準外)アプリを追加できるプレミアムコースプランあり。 |
desknet's NEO | ネオジャパン |
業種・規模を問わない。クラウド版もある。 利用者数は業界トップ。顧客満足度も高い。 簡単に業務アプリを作成できるツール(AppSuite)もオプション提供。 スマホ利用のための専用アプリがある。 |
NI Collabo 360 | NIコンサルティング |
小規模企業向け。クラウド版もある。 レシポンシブルデザインで、スマホ・タブレットでも利用可。 低価格で、小規模企業でのオンプレミス型導入に向いている。 |
Chat&Messenger | Chat&Messenger |
クラウド型とオンプレミス型をハイブリッドで利用可能。 中小企業向け(利用者数2,000名まで)。 クラウド型の無料プランあり。有料プランは複数あり。 「オンプレミスCAM Server」プランは、150円~/名・月(最小利用者数20名)。 |
GROUPSESSION | 日本トータルシステム |
オンプレミス型の企業向け版は「ZION」という名称で、100人~1万人以上の企業・部門向け。 他に、無料プラン、低料金のクラウド型プラン「byCloud」もある。 |
その他、大塚商会の「eValue V」シリーズも、オンプレミスの統合型グループウェアとして販売されています。大塚商会はまた、そのクラウド版を「eValue V Air」としてサービスを展開しています。
製品名 | 提供会社 | 特長・備考 |
J-MOTTO | リスモン・ビジネス・ポータル | desknet's NEOから派生した低料金のクラウド型専用のグループウェア。基本料金でdesknet's NEOの25の機能が利用できる。 |
kintone(キントーン) | サイボウズ | 部署・業種別の業務アプリのサンプルが多数用意されていて、選ぶだけで簡単に利用開始できるほか、コーディングスキルが無くても独自の業務アプリの作成が可能。 |
ナレッジスイート |
グループウェアをはじめ、SFA・CRM・問い合わせ管理・集計分析ツールなどがオールインワンになったクラウドサービス。 この無料版は「GRIDY」の名称でサービス展開されている。 |
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アイアットOEC |
グループウェアを中心に、SFA(営業日報)・ワークフロー・タイムカード・社内報などのオプションと完全連携可能。 |
その他、中小企業等向けのグループウェアとしては、Aipo、iQube、mitoco、R-group、ジョブマネなどもあります。
また、Microsoft 365、Google workspaceなどをグループウェアの一種とみなす場合もあるようです。